ロゴ

新・木偏百樹

1.文化 | 新・木偏百樹TOPに戻る
木の名

ふう

別名
賀茂楓(カモカツラ)
。 イガカエデ。古名、カツラ・オカツラ 樹脂に芳香がある。
中国中南部、台湾原産。日本では本州から沖縄までの平原や丘陵で肥沃な深層土を好む。生長は早く、成木すれば幹周り2~3m、樹高20~30mの大 木となる。 おおくは強健で萌芽力がある。剪定は嫌う。 街路樹、公園樹、庭木とされる。葉は互生し長い柄をもち、浅く三裂(まれに五裂)する。裂片は卵状三角形で縁に細鋸歯がある。春に花弁のない単性花を つけ、花後、2.5センチメートルほどの柔らかいとげのある球形の果実がなる。秋には紅紫色に色づく。
幹の樹脂を乾燥したものを楓香脂(フウコウシ]といい解毒、止痛、止血、結核あるいは皮膚病の薬にする。 同じ仲間のモミジバフウは北アメリカ、メキシコ、グアテマラ原産の落葉高木で、樹皮は溝が深く、葉は掌状に5~7裂する。やはり街路樹として植えられ、東 京上野公園には大木がある。葉が掌状に5~7裂し、秋の紅葉が美しい。
日本には1727年(享保12]ころ渡来し、当時のものが皇居内(皇居吹上御所]に残っている。これは八代将軍徳川吉宗が当時の楓の評判を聞きき、中国との通商を通じ苗木3本を取り寄せ、江戸城内に 植樹したものである。あとの2つは家康を祀る日光東照宮境内と徳川家菩提寺の上野寛永寺境内に植樹したという。そういえば山口蓬春の日本画に「新宮 殿杉戸楓4分の1下絵」(楓]というのがあり、見事な紅葉が描かれている。現在はこの絵は千代田区にある山種美術館の収蔵されている。
- 楓はカエデではない、そういう使い方をするのは誤りであると、説いてある本も多い。『木偏百樹』にも「みんなで読めば間違いも正しで、今は楓はカエデと呼 ばれることが多いが、楓(フウ]と言われるれっきとした木である」と父は書いていた。いつから誤ったのだろうか、牧野富太郎も指摘していたし、古くは貝原益軒の「大和 本草」や「和漢三才図会」にも指摘されている。私が見る和漢三才図会は現代の東洋文庫版だが、そこにも「楓(をかつら]これを俗に蝦手(かえるで]の樹としているのは誤りである」と記している。調べたところ、律令文化のエリートたちによって、楓=カエデの式が作られてきた事がわ かった。だから正しいのは、ほんの100年くらいで、あと1300年間も間違いをつづけてきたということになる。私は法学部出身だが、法律では数十年もつづけ ばそれが既得になる事も多いが、植物の世界では、いつも最初のものが正しく、みんなが使い慣れていても「それは誤っている」と言い続けるのである。樹 木関係にはこのような事はたまにある。椿も同じような例だ。
学名
Liquidambar formosana
マンサク科
フウ属
落葉高木
落葉高木
雌雄異株
雌雄同株
英名
.

78/100 ページ 最初の頁 前ページ 次ページ 最後の頁
.